死せる朝日の会
この間に妙と話そうかと思ったが、それな何故だかはばかられた。それにここに来るまでの間もずっと、ジュンイと妙が話していたが、会話の内容がまるで理解できなかった、まるで外国語でも使っているかのような、奇妙な感覚にとらわれていたのが忘れられない。
しばらくしてジュンイが戻って来た、手には人数分のコーヒーカップと、簡単な食事がお盆に載せられて来た。
「さて、話の本題に入る前に、あなたには状況を理解してもらわなければなりませんね。少しばかりショッキングで、驚かれるかもしれませんが事実です。 とは言え、間違いなく信じてもらえないと確信していますから大丈夫。安心して聞いて下さい。」
それを聞いた妙は笑っていた。なんとなく馬鹿にされてるような、でもなんだか和むようななんとも心地よい気分だ。
「では最初に結論から言いましょう。あなたは高柳周一ではありません、そしてこの娘も神崎妙子ではないのです。ただし、今のあなたがたの肉体は高柳周一であり、神崎妙子なのです。わかりますか? つまり、全くの別人が、一つの目的の為に、それぞれの人間の肉体を借りている訳です。その際、記憶が混在しないようにしたのがあなたのアイデアです」
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