死せる朝日の会
「ユリスって誰だ? 他にも仲間がいるのか? 詳しい事情は知らないが、記憶なんて曖昧な物に対して、きっちりした予定が立てられるはずないだろ?」
さっきまで、ただ黙って話を聞いていた俺だが。話の流れが変わってきた事に、若干の苛立ちを覚えた。まるで、俺がもたついているかのような言われ方に、腹が立ったのだ。しかし、それは向こうも同じだった? 妙は急に立ち上がって、机を叩きながら俺を見た。
「あんたが立てた予定よ。今回の計画も、比率も、代表さえも。全部あんたが一人で勝手に決めたんじゃないの。 それに、ユリスは誰? って何? まだ思い出せないの?」
と、凄い剣幕でまくしたてられてしまった。さすがに言いかえせずにいたら、
「ごめん、ジュン君、私ちょっと頭冷やして来る。」
そう言って店を出て行ってしまった。 ジュンイはただ黙ってそれを見送った。「高柳さん。何故彼女が怒ったのかわかりませんよね? 」
そりゃ、まあそうだろうよ。
「まあ… さっぱりわからん」
ジュンイは立ち上がって、店の隅に置いてあるジュークボックスのスイッチを押した。 すると、聞いた事の無い曲が静かに流れ出した。
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