死せる朝日の会
もしかして俺の記憶が戻らないからなのか? 」
確かに俺の記憶は戻っていない。 でももし本当に世界が終わってしまうかもしれないのなら。
「その答えは半分正解ですが、もう半分は不正解です。確かに今のままのあなたを連れていっても世界は救えない。けど、仮に記憶が戻ったたとして、それでも状況は変わりません。私があなたに全てを打ち明けたのは、ユリスの為です。このままでは、あなたより先に彼女のほうが疲れてしまいますからね。まだ、聞きだい事は沢山ありますでしょうが、とりあえずはユリスのほうを頼みます。なんとなくわかりますよね?」
ジュンイは俺を見ていた、そしてポケットから小さな黒い封筒を出し、俺に手渡した。
今の自分が誰かなんてわからない。テロリストの俺なのか、それとも高柳周一なのか。それでも一つだけ、今の状況が理解できた。妙の中にいるのがユリスだ。間違いないと思う。俺の大切なのは妙だ、しかし今の俺が高柳周一ではないのなら、この思いは何なのだろうか? 結局のところ、俺は自分が何をしたいのかさえわからないまま、妙を探しに外に出た。
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