死せる朝日の会
ドアノブがやけに固い、まるで何年も開けられていないドアみたいに嫌な音がする。そして俺は次の瞬間、自分の目を疑った。 ついさっき、俺達はここで話をしていた。お茶を飲み、音楽を聞きながら、いろんな事実を聞かされたのだ。にもかかわらず。そこには何もなかった。それは店が閉まってるとかいう問題ではない。 本当に何もないのだ。がらんとした空間に、椅子の一つもありはしない。 一体どうなってんだ? これも俺達の過去に何か関係があるのだろうか? しばらく何もできずにいた俺だが、先ほどジュンイから受け取った封筒が頭をよぎった。もしかしたらあいつは、この状況を予測していたのではないだろうか? そもそもおかしいのは、俺と比べて、妙とジュンイの記憶だけしっかり戻っていることだ。もしかしたらこれも一つのルールなのかもしれない。まあ、単に俺がもたついているだけかもしれないけど。とりあえず封筒を開けてみる、中に入っていた手紙は実にシンプルだったが、俺の考えた通り、ジュンイからの状況に対するメッセージだった。そこにはただ一文のみ書かれていた。
『イブの教会は、あなたが願えば行けます。』
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