死せる朝日の会
さっきまでの静かだけど、威圧感のあるしゃべり方ではなく、まるで、演説でもするかのような大きな声で激昂した。
「お前も見ておけ、罪を償う為にやり直している俺達が、今まさに犯している罪の深さを。たとえ記憶が無くても、責任は消えない、やらなくてはいけない事は決まっているからな。 」
そう言うと、俺にも一冊の本を手渡された。 分厚いハードカバーで作られたそれは、雰囲気こそ古めかしいものの、それ自体はまだ新品同様であった。本のタイトルらしきものは書かれていなかったが、変わりに小さな文字で【高柳周一】と記されていた。なんだかよくわからないままに表紙をめくる、するとそこには年表らしきものが書かれていた。しかしそれは、歴史の教科書にあるような物ではなく、俺が生まれてからの記録が書かれていたのだ。しかもそれには、子供の頃に巻き込まれた事故が原因で、左腕に傷がある事や、病気で死んだと聞かされていた姉が、実は親戚に引き取られていた等の、俺の知らない事まで細かくかかれていた。
「これは一体?」
妙でもアリでもいい。教えてくれ。
「私は妙では無いよ、もうわかるよね? そしてあなたも高柳周一では無い。
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