死せる朝日の会

二人のユリス

これがアイリスの言ってた“返事“の理由か? 一体いつの間に付けられたんだ? 全く気がつかなかった。
「とりあえず見てみましょうよ。」
パステルは落ち着いた口調のつもりなのだろうが、なんとなくそわそわしているのが感じられた。 手紙をほどいて広げてみる。 その内容はこうだ。
【親愛なるエイトの長へ。おそらく名前を書いても見えないと思いますので、高柳様と書かせて頂きます。
この手紙は、できる事なら一人で読んで欲しいのですが、おそらく無理でしょう。だから今回は用件のみを簡潔に言います。高柳様がユリスだと思っているその方は、本当に本人ですか? あなたがた同様に私達の記憶も曖昧なのです。こちらの見解では、神崎妙子はユリスではありません。どうか一度こちらにいらしては頂けませんか? 私達の考えるユリスに合わせたいのです。 明日の夕方、また会いに行きます。 どうか良い返事をお待ちしております。
あなたのアイリス・C・ベルガンデスより。】
俺は多少なりとも驚いたが、それが本当の事だとは思えなかった。
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