死せる朝日の会
神父の顔は見えない。 神父だけじゃなく、その場の七人全員が口元付近から下しか映っていなかった。おそらく、そうゆう演出なのだろう。そして若者の一人が答えた。
「俺達は犠牲なんかじゃない。 もちろんあんたらもだ。 きっとなんとかしてみせる、もう一度夜明けを見てやるよ」雰囲気からすると、まだ16歳くらいの少年だ。この少年の言葉にもう一人の若者が続ける。
「西はレイン、東はリャン・ホウメイ、北はあなた方5人、そして南のルーベンス、 裏と表に私達を配置させた。 夜明けは来るよ・・きっと来る。」
少年と同年代くらいの少女だ。強気な口調から、意志の強さが伝わってくる。やがてその場の七人は口を閉ざし、神父の中の一人を見る。小柄で髪の長いその人物は、ゆっくりと話し出す。
「待ちましょう、いつまでも。お二人を信じています。 だからこれは絶望じゃない、希望だ。終わりではない。最後にして最高の始まりだ。 祝います、世界の夜明けを。」
その言葉が終わると同時に、全員がグラスを手に取る。そして、まるでそれが儀式であるかのように全員で高く掲げ。
「夜明けを、最後の私達に。」
と、全員が叫び、グラスの飲み物を一気に飲み干した。
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