死せる朝日の会
あなたの持ってる鏡をもらいたい、二年前に上海の骨董屋にて手に入れた、青い鏡、通称“翡翠の膝鏡”を譲って下さい。記憶は無くても物は存在します、ただ一言、譲るとだけ言ってくれればいいのです。」
鏡か、俺は上着のポケットから一枚の紙を取り出した。それは出掛けにアリから渡された物で、今回の交換交渉の要求として予想される内容が、一覧にして書いてあった。その中から鏡を探す、え~っと、鏡、鏡と、あ、あった。【翡翠の膝鏡:よく要求される品物、完全にお前の持ち物だから判断は任せる】
と言う事は、渡しても大丈夫だという事だよな。
「わかった、譲るよ。どこにあるのかは知らないが持っていってくれ。」
ちなみに、一覧の中に書かれている内容のほとんどが、渡してはならないと記されているから、もしそれを言われたら困ってしまうところだった。 それにしても、 五平かぁ、ずっと俺を睨んでるよ、怖いな、人は自分では気が付かないようなところで誰かの恨みを買う事がある。特に今の俺には記憶が失われているからなぁ、何か怒らせたのかもしれん。
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