死せる朝日の会
そこには、びっくりする位近くにリンダがいた。背後霊かと思う程、真後ろにいたリンダは、そのまま俺に頭突きを食らわした。 ゴン と鈍い音がして、俺は目の前に火花が散っていた。
「痛い、いや、マジで痛いって。いや、見てたならわかるだろ? 今のはマリーからキスしてきたんだからな。」
そうだよな、浮気とか言わたから弁解してる訳じゃないぞ、とりあえず事実を伝えたいだけだ。
「最初はそうかもね。でも二回目は明らかにお前からキスしたじゃんか?」
それこそ事故だ、はたから見たらわかるだろ? あれ? もしかしてそうは見えないのかな?
「違うって、単なる事故だよ、俺は別に…」
そんなつもりは無い。そう言いかけた俺の目に、少し涙目のマリーの顔が目に入った。
「事故なんですか? ひどい、あなたからキスしてくれて嬉しかったのに。」
もうほとんど泣いている。
「いや、そうじゃなくてさ、ほら、とりあえず落ち着いてね。」
俺はしどろもどろになりながらマリーをなだめる、すると今度は俺の頭部をバスケットボールみたいにリンダが掴んだ。
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