死せる朝日の会
けど、雨を連れて帰る訳にもいかないしな。今日の所は一旦帰って… などと考えていると、突然ルイスが叫びだした。
「おいっ! 全員気をつけろ。何か来る。」
と言って、俺の後方側を見ていた。そこはちょうどパステルが立っている付近なのだが、何か霧のような物が漂っていた。
「パステル、何かやばい、こっちに来い。」
その異様な光景に、俺は思わずパステルに叫んでいた。びっくりした様子のパステルだったが、素早くこちらに走ってくる。俺はパステルの手を取って引き寄せる。そして他のメンバーを確認してからもう一度霧を見る。
「なあルイス、あれは何だ?」
慎重に言葉を選びながら口に出す。そうしないと、隙を見せたら何かをされそうな圧迫感がそこにはあったからだ。
「わからん。ここは神の作った空間なんだ、時間と次元の間に作られた見えない世界、ここにはどんな存在も入れないはずだ、正規のメンバー以外には有り得ない。」
けど、現に何かいるじゃないか?
「待って、霧が薄くなっていきます。」
息苦しさから口を押さえていたアイリスは、とっさにカメラを取り出し、霧を撮影していた。
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