死せる朝日の会
そして、目の前の霧のような存在がすっかり消えた頃、同時に妙な圧迫感も無くっていた。はあっ と溜め息をついて、引き寄せたままのパステルを見る。
「大丈夫だったか? 何か飲んで落ち着こう」
そして、他のみんなも気が抜けたのか、その場に座り込んでいた。 俺は持ってきたお茶を取り出そうとしてパステルの手を離した、すると今度はパステルが俺の腕を掴んできた。よほど怖かったのかと思い、顔を覗き込む、するとパステルはゆっくり俺を見る、そして丁寧な口調でこう言った。
「相変わらずだ、やはりあなたは詰めが甘い、見えない物にこそ注意を払うべきだな。」
そう言うと、いきなり俺の首を右手で掴み、凄い力で締め上げてきた。パステルの綺麗な銀髪が揺れる、そして鋭い眼差しが俺を睨みつけていた。本来は澄んだグリーンの瞳をしている彼女だったが、目の前のそれは、鮮やかな赤い瞳をしている。まるで、別人のようにさえ見えた。
「やめろっ! どうしたんだ?」
ルイスは叫びながらパステルの手を離そうとした、しかし、パステルの力は予想以上に強くてどうにもできない。
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