恋愛アンフェア
そこには、デコトラとかいう派手な乗り物やら、やたらとお金をかけたようなバイクやらとともに、決して穏やかそうではない方々が軽く

50人はいた。



何の、
集会?



思わず私も蒼白になるとその集団の中から見知った顔が歩いてきた。


「あれ、お前、なにしてんの?」


呑気なその声に力が抜ける。

それはこっちの台詞だ、兄よ。


「兄ちゃんこそ、何やってんの」


なんとかそう尋ねると兄はにこやかに笑いながら集団の先頭にいるある人物を指差して言った。


「先生からの集合がかかったから」


先生?

心臓が跳ねた。

もしかして、
例の、
あの、
兄を助けたあの人?

ドキドキしながら指された方向を見て

頭が真っ白になる。


「間に合いましたね」


その人はそう言いながら私に近づいてきた。


「無事でなによりです」



いつもの野暮ったい眼鏡はないけれど。

髪は外して流しているけれど。

シャツの柄が髑髏ですけれど。

ジーンズの横のシルバーアクセサリーがジャラジャラいってますけれど。

間違いない。


草食系通り越して草みたいな風体を晒していた

数学の教師
その人だ。

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