恋愛アンフェア
「皆、忙しい中有難う。助かりました」

兄を含め集まった50人そこらの人々は嫌な顔ひとつせずむしろどこか嬉しそうに帰っていく。


多分あの人達も兄と同様何かを助けられこの先生を信頼しているんだとわかる。

どうしてこの人が世でいう『不良』に好かれるのかわかった気がした。

この人は強い。

喧嘩もそうだろうけれど、心が強い。

だから雑音に惑わない。

優等生だろうが不良だろうがフェアな目で見る。

だから好かれるんだ。


だから私は

好きに

なったんだ。


そうぼんやりしている時だった。


「先生そいつ、例の先生に惚れてるっつう俺の妹」


去り際の兄が爆弾を落とした。

全身がかあっとなって汗が噴き出した。





なんてこと

あの馬鹿兄貴。


言い訳をしようとした時だった。


「知ってます」


兄の時よりも威力の大きな爆弾が、

私にだけ落とされた。
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