恋愛アンフェア
「…あのね、先生は君のこと心配してるんですよ」


弱々しくため息をつかれる。


「君が今からしようとしている事が何かは知りません。でも穏便でない事はわかります。頭を冷やして考えましたか。それで失うものはありませんか」


ない訳は、ない。

私は俯く。

良くて話し合い。
でもその可能性は薄い。

あの女は誰かに電話をしていた。
痛めつけると言っていた。

そういう気でいる人間が話し合いで済ませられる程友好的である訳がない。

殴り合いで済めばいい。

しかしどちらかが、もしくはどちらもが軽い怪我で済まなかった場合

私は様々なものを失い沢山の人を悲しませるだろう。

でも。


「よく考えました」


キッパリ答える。


「よく考えて決めた事です」


あの女はフェアじゃない。

筋が通ってない。

フェアじゃないのを見なかった事にするのはフェアじゃない。

フェアじゃないというのは私の魂に反する事だ。

魂に反するという事は生き方を否定する事だ。

生き方を否定するという事は私の価値を無くすという事だ。

価値の無くなった私に何の意味がある。
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