恋愛アンフェア
知っていて私を呼び止めた。

それは私や私の親友や保健医や女教師みんなの為だ。

すべての為に穏便に動こうとしてくれていた。

でも失う物のリスクは私と同じ、いや、悪くすればそれ以上の筈だ。

なのに。


へらへら笑うこの教師が、記憶の中の『先生』と被った。


この人は、立派な人だ。

道徳的にとかそういうのはわからない。

本当はどんな思惑なのかもわからない。

でも。


あの声は本物だ。


なら。
尚更。

この人を
巻き込めない。


「先生の事、信じない訳じゃありません」


真っ直ぐ目を見てそう告げる。


「でも、先生に私以上のリスクがあるとわかっていて、この件、渡せません」


先生は驚く。
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