あばば

いち



「私、もう一人ぼっちなの。移動教室おいていかれちゃって…ごめんね。迷惑だよね。分かってるんだけど…」

「ううん。いいんだよ。うちと一緒にいこう?」

三学期の初め、


私は大切なものを無くした。


「突然のことなの?」

あずさの問いに私はうん。とうなずく。

二学期まで一緒に笑いあっていた同じクラスの鈴。

私は信じていた。友達だと、思っていた。

「私わかんない。どうしてこんなことになったのか、心当たりといえば、ひとつあるんだけど…」

あずさはやっぱりと顔をしかめる。

「澪と一緒にいるんでしょ。鈴。やっぱりあれが原因なのかなぁ。」

三学期が始まってから、急に鈴がよそよそしくなった。

今まで一緒に行っていた移動教室も、一緒に過ごしていた休み時間も、鈴は私など存在しないかのように澪と行動をともにしていた。

急激な変化がおこったのは三学期からだが、正しくは二学期の終わりからそれは始まっていた。






< 2 / 10 >

この作品をシェア

pagetop