あばば
~二学期~


「ねぇ。なに話してるの?」

「えーでも春にはちょっとわかんない話題だと思うよ~wwねぇ?澪」

「えっ、澪~私にも教えてよ~」

「いやだ。」

「ひどっ!!」

このとき、私はまだ気がついていなかった。


ことの重大さに。


「おしえてよー」

しつこい私に痺れを切らしたのか、澪は教室を小走りで出て行った。

「ちょっと、澪!?」

私も釣られて教室を飛び出した。

「ねぇ、どうした…の…?」

澪の腕をつかんだとき


澪は、泣いていた。



「あっ…ごめん。」



私がパッと手を話すと、澪は女子トイレへと逃げ込んでいった。

そのあとを、追ってきたのであろう霞が追いかける。


教室にもどってきた私は、鈴に今起きたことを大まかに話す。

「気にしなくていいんじゃない?」

「そうかな…」

「泣いてたんでしょ?だったら無理にかまわないでそっとしておこうよ。」

私は鈴の言うとおりに澪のことをそっとしておくことにした。

冬休み二日前、あの日から私と澪の間には深い亀裂が入ってしまった。

そっとしておくとは言ったものの、どうしても気になって声をかけてしまった。


「…澪。あの、昨日は、私なんにもわかんなくて…ごめんね。」

「…」

返事も何もなく、澪は静かにその場を離れていった。

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