あばば
狭く、散らかった保健室には私以外にも八人ほどの生徒が着ていた。

下級生かと思われるあどけない少年から、最近顔を見ていなかった同学年の不登校の生徒まで。


「うっ…うぅ…」

こんなにひどく泣いたのは久しぶりだった。

おばあちゃんのような保健の先生が


「なんかあったの?」

と、冗談交じりに声をかけてきた。

ほっといてほしい。そんな身勝手なことも考えたが、私は答えた。

「移動教室…置いていかれたんです。」

いまだに嗚咽の止まらない私を、先生は一笑した。

「それくらいのことで?ははっ。」

それだけじゃない。

でも話すと長くなることなので、私はそれ以上語らなかった。

しばらくして、先生は保健室を出て行った。

保健室にいる人を見渡す。

この人たちも、そのくらいのこと。と思ってるのかな。




静かな室内には、私の嗚咽だけが響いていた。
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