余命365日
「なぁ…

本音言うていぃ?」

「うん…何?」

「……死にたない…わ」

「うん」

「もっと生きて

お前ともっと

一緒にいたかったわぁ…」

気の抜けたような声

陸は泣いとった

「…なぁ…楓ぇ」

「…ん…?」

「俺が死ぬ直前に

なった時

お前考えるて―――」

彼の言葉は

突然消えた

月が雲にかくれたとき

月の光に

照らされなくなった部屋は

赤い点滅ランプが

チカチカと

音を立てて

鳴り響いていた

私の悲鳴が

病室に響く
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