Tokyo Midnight
「どうした?」

手を止めた私に彩斗さんが聞く。

「あ・・・ううん、これどうやって作るのかなぁって」

「じゃあ、今度特別に作り方教えてやる」

こんなふうに仲良くなったって、すぐに出て行かなければいけないのに・・・

あったかいオニオンスープを口にすると、その熱がのどを通り少しずつ体を温めていく。

いっそ、こんな幸せを与えてくれなくても、夜だけ私を求めてくれればいいのに・・・

そしたら、こんな気持ちにならなくて済んだのに・・・

私は彩斗さんの優しさを知るたびにどんどん苦しくなっていった。
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