Tokyo Midnight
すると温かい唇が触れたのは、唇ではなく額だった。

「え・・・」

「もう寝ろ」

そう言って彩斗さんの手は再び私のパジャマのボタンを止め始めた。

私はかっとなって、彩斗さんの頬を両手で掴むと自ら唇を重ねた。

逃げようとする唇に何度も何度も自分の唇を重ねる。


「・・・めろ!!」

最後には体ごと押し離され、ベットに組み敷かれた。

留めかけだったボタンは外れ、再び私の肌が彩斗さんの目の前に晒された。

乱れた息が整うと、彩斗さんはそのまま私の隣に背を向けて寝転がる。

「明日、打ち合わせで出かけるから」

それだけつぶやくとベットサイドのライトを消した。

私は向けられた背中を見つめたまま、結局朝まで眠る事ができなかった。
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