Tokyo Midnight
「出てけ」

彩斗さんとそっくりなその声は驚くほど冷たく低く慶介に向けて発せられた。

「か、和兄、このことは・・・」

「兄さんには言わないでおいてやるから早く出てけ」

慶介は口の端を拭うと転がるようにして部屋を出て行く。

私はそれを見届けると、身を縮めて「和兄」さんを見上げた。

「・・あ、あの・・」

「なるほどな」

「え?」

いきなり発せられた言葉に思わず聞き返してしまう。

何がなるほど、なの?

「・・・お前、名前は?」

私を見下ろす視線があまりにも冷たくて、私は小さな声で答えた。
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