Tokyo Midnight
「松下・・・美菜子・・・」

そう言いながら見上げると、「和兄」さんは突然笑い出した。

「はっ・・名前まで同じか」

同じ?誰と?

私が不思議そうな顔をしているのに気づいたのか、「和兄」さんは口元を押さえて咳払いをした。

「・・・俺は和人。彩斗の弟だ」

名刺を差し出されて、恐る恐る受け取って見る。

「・・・医者?」

受け取った名刺には有名な総合病院の名前と「外科医師 桐生和人」と書いてある。

兄弟なのに、苗字が違う。

と思いながら名刺を見つめる。

「・・・今日のところはこのまま帰るが」

和人さんはそう言って言葉を切る。
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