貴方の愛に捕らわれて
「何をしてるんだ?」
『あ…、ごめんなさい。
外が明るいから、何時か気になって……』
開いたドアから現れたのは、お盆を手にした猛さんだった。
「8時を少しまわったところだ。
それより、起きても大丈夫なのか?」
眉間を少し寄せ、不機嫌そうな猛さん。
『はい。熱も下がったみたいで、すっかり良くなりました。
あの……。き…昨日は、ありがとうございました』
昨夜の事を思い出すと、身悶えするほど恥ずかしい。
でも、スッゴく嬉しかったから、真っ赤になりながらも、素直に感謝の気持ちを伝た。
私がお礼を言うと、猛さんの後ろから智也さんが現れた。
「あれ?何してるんですか?
そんな格好でウロウロしたらダメじゃないですか」
窓際に立つ私を見つけた智也さんは、呆れ顔で私を叱った。
『もう大丈夫ですよ。今朝は気分も良いので。
昨日は本当にありがとうございました』
私は、猛さんと同様に、智也さんにもお礼を言いながら頭を下げた。
「今は熱が下がっているみたいですけど、油断したらダメですよ。
朝はだいたい熱が下がるもんです。
おとなしく寝ていないと、すぐに熱がぶり返しますよ」
お礼を言う私に、智也さんがそう忠告をすると、私の体はふわりと宙に浮いた。
あっという間に猛さんに抱き上げられ、私は有無を言わさずベッドに連れ戻された。