貴方の愛に捕らわれて
「香織、榊も2~3日は寝ているように言っていた。
だから大人しく寝ていろ」
『サカキ……さん?』
「お前を診せた医者だ。
お前、全然飯を食っていないだろ」
知らない名前に、思わず聞き返すと、眉間のシワを深くした猛さんに睨まれた。
前に猛さんに朝と昼はちゃんと食べてるのかって聞かれて、嘘をついたから怒っているんだ……。
『ごめんなさぃ………』
猛さんの鋭い視線に耐えられず、俯いた私は小さな声で呟いた。
「俺は怒ってるんじゃない。心配してるんだ。
分かるな?香織」
不意にギュッと抱きしめられた。
後頭部に添えられた手に力がこもる。
私の顔は猛さんのたくましい胸にギュッと押し付けられ、頭上からは苦しそうな猛さんの声が聞こえる。
『しん…ぱ…い……?』
「ああ。心配してるんだ。
お前、ガリガリに痩せてるから、あばら骨が見えてるじゃないか。
榊もちゃんと食ってないから、栄養失調だと言ってたぞ」