貴方の愛に捕らわれて

「香織、ホテルで倒れたのは覚えてるか?」



『はい』



「何度呼びかけても意識の戻らないお前が、凄い汗をかいて苦しそうにしていたから、そのままにしておく事が出来なかった。


悪いとは思ったが、汗を拭いて着替えさせたんだ」



そう言うと腕の力を緩めて、心配そうに私の顔を覗き込む。



猛さん、私のことを気遣って着替えさせてくれたんだ。





え………?


という事は、猛さんに裸を見られ……た…!?





完全に状況を理解した途端、一気に全身が熱を帯びる。




頭の先からつま先まで真っ赤になった私は、恥ずかしさで涙目になりながら俯くと、猛さんが弱々しく呟いた。





「すまん……」



ハッとして顔を上げると、肩を落として、まるで叱られた子供のようにしょんぼりとする猛さんの姿が。



 


< 104 / 507 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop