貴方の愛に捕らわれて
「香織、ホテルで倒れたのは覚えてるか?」
『はい』
「何度呼びかけても意識の戻らないお前が、凄い汗をかいて苦しそうにしていたから、そのままにしておく事が出来なかった。
悪いとは思ったが、汗を拭いて着替えさせたんだ」
そう言うと腕の力を緩めて、心配そうに私の顔を覗き込む。
猛さん、私のことを気遣って着替えさせてくれたんだ。
え………?
という事は、猛さんに裸を見られ……た…!?
完全に状況を理解した途端、一気に全身が熱を帯びる。
頭の先からつま先まで真っ赤になった私は、恥ずかしさで涙目になりながら俯くと、猛さんが弱々しく呟いた。
「すまん……」
ハッとして顔を上げると、肩を落として、まるで叱られた子供のようにしょんぼりとする猛さんの姿が。