貴方の愛に捕らわれて
『いいえ。あ…ありがとうございます』
裸を見られたのは、すっごく恥ずかしいけど、仕方がないよね。
だって、意識が無かった訳だし。私のこと“心配”してくれたんだもん。
猛さんは何も悪くない。それなのに、気まずい思いをさせてしまうなんて。
恥ずかしくって、顔を上げることはできないけど、感謝の気持ちを伝えたくて、とっさに猛さんの服の裾をギュッと掴んでお礼を言った。
「お取り込み中、申し訳ありませんが、熱は計りました?」
不意に明るい声がして、ビックリして顔を上げる。
すると猛さんのすぐ後ろに、満面の笑みを浮かべた龍二さんが、体温計を手にして立っていた。
ニコニコ顔の龍二さんの視線を辿れば、猛さんの裾を掴む私の手……
ひゃあぁぁーー!!
私ったら、何をしているんだろ!?恥ずかしい!!
そう言えば、この部屋には智也さんも居たんだ!