貴方の愛に捕らわれて

私の首筋に押し付けられているため、猛さんの顔を見ることはできない。



けど、猛さんの声には何時もの力強さはなく、切なげにかすれていた。




『私のこと“必要”………?』



さっきから猛さんの言った一言が、ずっと頭の中でリピートされている。




「ああ。どうしてもお前ぇが欲しい」





生まれて来たことを実の親からも否定された私……




今までの人生で、一度でも“必要”とされたことなんてなかった。



ううん。必要どころか、存在自体が邪魔だと、言われ続けてきたんだよ……




それなのに、そんな私のこと、本当に“必要”としてくれるんですか……?



 
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