貴方の愛に捕らわれて
「あんまり浮かれて構い過ぎると、小鳥が愛想を尽かせて逃げますよ」
そんな事あるかと思いながらも、女タラシの龍二の忠告を聞き流す事も出来ず、不機嫌に舌打ちで返して、二人にこれからの事を指示した。
「智也、香織の風邪が治ったら、香織の荷物をここへ運ぶように手配しておけ」
「はい。荷物はどこから運ぶんですか?」
困惑気味に智也が聞き返す。
俺は、二人に向かって自分の考えを告げた。
「香織をあの家へ帰すつもりはない。
金輪際、あの母親とも関わらせるつもりもない。
これからアイツの面倒は俺が見る。
運び込む荷物は、換えがきかない必要最低限のものだけでいい。
それ意外の物は全て新しく買い揃える」
俺がそう言い終わると、さっきまでニヤケていた龍二が、俺の目を真っ直ぐ見据えて聞いてくる。