貴方の愛に捕らわれて
「本気で手放す気はないんだな?」
「ああ。香織には悪いが、もう何があっても手放してやることなんてできない。
俺は今まで、何に対しても恐いと思った事がなかった。
けどな、さっき香織が俺の事を受け入れてくれた瞬間、初めて恐怖というものを感じたよ。
香織がいなくなったら、俺は正気でいられないんじゃないかと思うくらい、アイツを失うのが恐いんだ。
だから手放してやれない分、これからは俺がアイツの事をあらゆるものから、全力で守ってやる。
アイツが望む事、全て叶えて幸せにしてやりたいと思う。
悪いな。こんな腑抜け野郎が頭で」
そう言って自嘲気味にわらって二人に頭を下げた。