貴方の愛に捕らわれて
そんなやり取りを、ただ黙って見ていた猛さんは、私がグラスを渡すと、徐にドライヤーの電源を入れた。
猛さんの大きな手がワシャワシャと髪をかき回す。
少し乱暴なその手つきは、慣れないことをしているからだと思う。
されるがままに大人しく座っていると、ドライヤーの音が止んだ。
どうやら髪は乾いたようだ。
う~ん、どうしよう………。
猛さんに乾かしてもらった髪は、本当に“乾かす”という作業しか行われなかった。
その為、今、私の頭は鳥の巣みたいになっているだろう。
癖毛で猫毛の私の髪は、ブローをしないと見事なまでに膨らんでしまう。当然の結果と言えるだろう。
組長さんという偉い立場の人にやってもらって、仕上がりに文句など………
言えないよ。