貴方の愛に捕らわれて
寝ぼけてはっきりしない意識の中、温かな何かに思わずしがみついた。
「香織、こんな所でどうした?大丈夫か?」
耳元で響いた低音ボイスに、急速に覚醒してゆく意識。
重い瞼を開ければ、なぜか目の前には不安げな表情の猛さんのアップが。
『……あれ…?猛さん…』
いまいち状況が飲み込めずに固まる私の頬を、ゴツゴツとした大きな手が包み込む。
添えられた親指は、目の下をそっと撫でる。
「大丈夫か?何処か痛むのか?」
切れ長の瞳に至近距離から覗き込まれ、一気に心臓が暴れ出す。
真っ赤になって猛さんから視線を逸らせば、ここは自分の部屋で、なぜだか胡座をかいた猛さんの膝の上で抱きしめられていた。
なっ、なんで!?
パニックになりながらも、この恥ずかしい状況から逃れようと猛さんの胸を押したら、更に強い力で抱きしめられて、逆に身動きが取れなくなってしまった。