貴方の愛に捕らわれて
洗面所に逃げ込む私に、猛さんが何か言っていたけど、振り向く余裕なんてなかった。
洗面所のドアをバタンと閉めて、ズルズルと床に座り込む。
あぁ、恥ずかしかった。
先程の極甘な猛さんを思い出すと、目眩がしてくる。
しばらく床の上で恥ずかしさに悶絶していたけど、いつまでもそうしていても仕方がない。
……顔、洗おう。
ノロノロと鏡の前に立てば、そこには、涙でぐしゃぐしゃの顔をした自分がいた。
お世辞にも可愛いなんて言える顔じゃない。
自分で言うのも何だが、私の容姿はいたって普通。
いわゆる十人並みというやつだ。
いや、今時の女子高生と比べたら、お化粧もせず、髪の毛も染めず、お洒落もしない私なんて、普通以下だろう。