貴方の愛に捕らわれて
こんな自分のどこを気に入ってくれたんだろう。
鏡に映る自分の姿に、重い溜め息が零れる。
不安な気持ちを洗い流すよう、勢いよく顔を洗う。
目の前の鏡に視線を戻せば、さっきよりはさっぱりとしたものの、散々泣いて瞼をはらした冴えない顔がそこにある。
「何を考えてる」
不意に掛けられた声に、ビクリと肩が跳ね上がった。
ゆっくりと声のした方に振り向けば、ドアにもたれてじっとこちらを見つめる猛さんがいた。
切れ長の瞳をすうっと細め、私を捕らえる。
何もかも見透かすような視線に、息をするのも忘れて見入っていると、両足が宙に浮く感覚にぐらりと揺れる視界。
急に高くなった視界に、可笑しな声が漏れる。
『ひゃぁ!!』