貴方の愛に捕らわれて
惜しみなく注がれる深い愛情を一身に受けて、私もそれに応えたいって強く思った。
『猛さんのことを怖いと思ったこと、無いんですよ。
初めて会った時は、振り向いたら知らない男の人がいて、ビックリはしましたけど。
不思議と怖いとは思いませんでした』
「……ッ」
猛さんの胸に預けた背中から、息を飲む気配が伝わってきた。
本当に自分でもよく分からないが、男の人が怖くて、その上、人見知りも激しい癖に、不思議と猛さんのことは最初から平気だった。
今思えば、私は最初から猛さんに惹かれていたのかもしれない。
『猛さんと出会って、私の世界は大きく変わりました。
猛さんと出会う前の私は、学校とバイト先を往復するだけで何もなかったから』