貴方の愛に捕らわれて

唇に触れる熱い感触に、ピクリと肩が跳ね身体が強張る。



「大丈夫だ香織。俺の事は怖くないんだろ?」



『……はい』



視界を奪われた状態でキスをされ、パニックに陥りそうな私を、まるであやすように低音ボイスが宥める。




「今、お前に触れているのは誰だ?」



『……猛さん』



「俺の事は怖いか?」



『…いいえ』



「そうだ。良い子だ」




今、私に触れているのは、大好きな猛さんなんだと、落ち着いた低音ボイスが耳元で繰り返される。


怖いことなど何もない、大丈夫だと何度も繰り返す猛さんの言葉に安心して、強張っていた身体から徐々に力が抜けてゆく。



すると再び、そっと触れるだけのキスが繰り返され、キスの合間に「愛してる」という言葉が、呪文のように囁かれる。



 

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