貴方の愛に捕らわれて

現実に引き戻されると、キスに溺れた自分が凄く恥ずかしい。



慌てて猛さんの唇から逃れようと、しがみついていた手を離し、そっと押してみる。



名残惜しむかのように、チュッとリップ音をたてて猛さんの唇が離れてゆく。




「何だ」



不機嫌そうに携帯に出る猛さん。



電話の邪魔になってはいけないと、その胸から抜け出そうとすれば、腰にまわされた腕にガッシリと抱き締められる。



み、身動きがとれない……




冷静になれば、かなり恥ずかしいこの状況から、何とか脱出しようとあたふたする私に



「大人しくしてろ」



―――はぃ。



ちょっとだけ眉間にシワを寄せ、威圧感溢れる切れ長の瞳に見据えられれば、その命令に逆らえる筈もなく、借りてきた猫になる私。



 
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