貴方の愛に捕らわれて
いつも私に向けられている声よりも、ずっと低くて威圧感のある声で話す猛さん。
猛さんは一言、二言、単語を話すだけだから、会話の内容は全く分からない。
けど、その電話は明らかにお仕事関係のようだった。
だから仕方なく出来るだけ邪魔にならないよう、猛さん膝の上で大人しくしていると、不意にゴツゴツした指が私の頬を擽る。
チラリと見上げれば低くて威圧感のある声とは裏腹に、優しい眼差しで見つめられる。
猛さんの甘い眼差しに、カァっと頬が熱を帯びる。
恥ずかしいのに、猛さんから視線を逸らすことが出来ない。
甘い視線に酔ったみたいにポゥっとする私に、笑いを含んだ穏やかな低音が問い掛ける。
「今夜は何が食いたい?」
『―――?』