貴方の愛に捕らわれて

私が何よりも恥ずかしかったのは、学校への送迎だった。



智也さんが運転するフルスモークのベンツ。



後部座席には、私の肩に腕を回して、抱き寄せて座る激甘モードの猛さん。



逞しい胸にもたれかかるように抱き寄せられ、ドキドキが止まらない私を、助手席に座った龍二さんがからかう。



クスクス笑う龍二さんの視線を、避けるように俯いていた私は、外の様子に気を配る余裕なんてなかった。



だから外が凄い事になっていたなんて、全く気が付いていなかった。




車から降り立った瞬間、最初に感じたのは違和感。



何時もと何だか違う空気に、伏せていた視線を上げれば、無遠慮に向けられた沢山の刺すような





―――好奇の視線。



遠巻きにザワザワと騒ぐ生徒達。



 

< 247 / 507 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop