貴方の愛に捕らわれて
それでも龍二さんのお陰か、遠巻きにジロジロと見られはするものの、朝のように何かを言われるような事はなかった。
やっと長い長い一日が終わった。
結局、放課後まで私の事を見に来る生徒は、後を絶たなかった。
無遠慮に向けられる視線から一刻も早く解放されたくて、そそくさと帰り仕度をしていると、急に廊下が騒がしくなる。
もう、嫌な予感しかしない…
恐る恐る教室の入り口を見れば、そこに現れたのは相沢先輩達。
そして悪夢のような大名行列が、朝とは逆のルートで繰り返された。
校門の正面に堂々と停められたフルスモークのベンツ。
車の横に立って待っていてくれる、龍二さんと智也さん。
二人への挨拶もそこそこに、智也さんが開けてくれた後部ドアから乗り込めば、中には猛さんが座っていた。