貴方の愛に捕らわれて
 

腕の中の柔らかな温もり。華奢な首筋からは、微かに立ち上る甘い香り。



その香りは甘美な痺れを伴い、俺に心地よい眠りをもたらした。





翌朝、胸元に感じる柔らかな温もりに目を覚ませば、そこには穏やかな寝息をたてる愛しい小鳥。



―――フッ



昨夜は緊張でガチガチに固まっていたくせに、今朝は無防備に俺の胸に頬を寄せている。



大切にしたいという思いとは裏腹に、不意に、その身も心も全て奪い尽くし、俺無しでは居られないようにしてやりたいという、凶暴な思いに駆られる。



そんな凶暴な衝動を理性でねじ伏せ、深い溜め息と共に無防備に眠るその身を抱き寄せれば、



力が強過ぎたのか、華奢な身体がコロンと転がり、胸の上に乗っかる。



その身の軽さと、自分の中に湧き上がった感情に、俺は驚いた。



 
< 260 / 507 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop