貴方の愛に捕らわれて
 

唖然とする私に、巻き毛の彼女、篠田さんは思い詰めた表情で再び口を開いた。



「私、彼の事が本気で好きなの。


貴女の気持ちは知らないけど、彼を見てると、どうしても貴女が本気で彼と付き合ってる様には見えないわ。


ねえ、彼を取り巻きの一人ぐらいにしか思ってないなら、彼にちょっかいを出さないで!」



更に興奮して、ドン!と机を叩いて身を乗り出してくる篠田さんの迫力に、ビクリと肩が跳ねる。



別れてとか取り巻きだとか、何の事?



篠田さんの怒りの理由が分からずにオロオロとしていると、


「何やってんすか由香里さん。マズいっすよ」



不意に知らない男の子が篠田さんの肩を掴んで、私から引き離した。



「哲哉は関係ないんだから引っ込んでて」



「そういう訳にはいかないッス。章司さんこの事知ってるんすか?」



 

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