貴方の愛に捕らわれて
篠田さんと私の間に割って入った男の子は、篠田さんの友達らしい。
彼は私の事をチラチラと気にしつつ、篠田さんの肩を引っ張っていたけど、それを篠田さんが払いのける。
目の前で揉めだした二人に、ますますどうしていいのか分からずに困惑していると、
「何の騒ぎだ!」
教室内の空気を震わせる程の怒声と共に、大柄な男の子が凄い勢いで駆け込んできた。
「章司!
丁度いいわ。彼女の前ではっきりさせましょう。
私と彼女、どっちが本命なの」
「はあ!?何やってんだ!
篠宮さんの事は、そんなんじゃないって言っただろ。行くぞ」
大柄な彼は篠田さんの腕を掴むと、物凄い勢いで彼女を引きずって行こうとする。
篠田さんはそんな彼に抵抗して、渾身の力で彼の腕を振り払った。