貴方の愛に捕らわれて
触られた恐怖でビクリと跳ねる肩を、細い指が躊躇いがちに撫でる。
「ねえ……、大丈夫?」
重ねて掛けられた声に恐る恐る顔を上げれば、戸惑いつつも心配そうにこちらを覗き込む視線とぶつかった。
「どこかケガしてない?」
さっきまで酷く興奮して私に詰め寄っていた篠田さんが、倒れた机を脇に退かしながら、ケガがないかと聞いてくる。
さっきまでの態度が一変して、心配そうに背中を撫でながらケガの有無を確認する彼女に、小さく頷いて大丈夫と答えたが、震えの止まらない私の様子に保健室へ行こうと言う。
気持ち悪さも治まらないし、今までのやり取りで酷く注目を集めてしまったこの教室からも、一刻も早く離れたい。
だから彼女の提案にコクリと小さく頷けば、先程、私の肩を掴んだ大柄な男が近づいてきた。