貴方の愛に捕らわれて
「立てますか?」
そう言って手を差し伸べてくる大柄な男に、ヒュッという声にならない悲鳴が零れる。
そんな怯えた私の様子を見て、篠田さんが素早く男から私を隠すように立ちふさがり、私が保健室まで連れて行くからと男を制してくれた。
男は暫く篠田さんを睨んでいたけど、震えの止まらない私を見て、渋々納得したのか一歩下がった。
連れて行ってもらった保健室は、保険医の先生が不在で無人だった。
何故か私達の後を大柄な男がついて来たため、今、この部屋には篠田さんと大柄な男と私の三人だけだ。
「はい。落ち着くからこれ飲んで」
篠田さんは震えの止まらない私を椅子に座らせると、どこから用意したのかペットボトルのミルクティーをくれた。
『……ありがとう』