貴方の愛に捕らわれて
 

差し出されたミルクティーをもらってもいいのかと逡巡したけど、私が落ち着くようにと用意してくれたそれを、ありがたく受け取った。



ペットボトルの蓋は思いの外かたくて、震えの止まらない手では上手く開けられない。



なかなか蓋を開けられない私を見ていた篠田さんは、深いため息をつくと私の手からペットボトルを取り上げ、蓋を開けて手渡してくれた。



手渡されたミルクティーは温かくて、一口飲めば冷たくなった体を、内側からも優しく温めてくれる。



半分ほど飲めば、いつしか体の震えも治まり、気持ちも随分と落ち着くことが出来た。




「あのさ……、貴女本当に章司とは何でもないの?」



先程までの勢いとは打って変わって、どこかばつの悪そうに口を開いた篠田さんに、さっきからずっと聞きたかった疑問をぶつけてみた。



『あの…章司さんってどなたですか?』


 

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