貴方の愛に捕らわれて
そんな章司さんを見ていたら、ふとある考えが頭に浮かんだ。
けど、確証もないその考えを口にしてもいいのだろうか…
自分の中に沸き起こった考えに捕らわれていた私を、篠田さんの声が現実に引き戻した。
「章司の片思いだったんだね。
なのに貴女に言い掛かりをつけて、あまつさえゴタゴタに巻き込んで最低だ私。
本当にごめんなさい」
「チッ、何でそうなるんだよ」
酷く傷ついたような瞳で、苦しげに顔を歪める章司さんが、視界に入った。
やっぱり、そうなんじゃ?
章司さんの様子に、ますます自分の考え正しいように思えてくる。
その時、バン!と激しい音をたててドアが開き、怖い顔をした堀田君が保健室に飛び込んで来た。
そして、いきなり章司さんの胸倉をつかみ上げると、無言で殴り飛ばした。