貴方の愛に捕らわれて
弱々しく抗議の声を上げる香織を、強引に車に押し込める。
すかさず隣に乗り込むと華奢な腰に手を伸ばし、膝の上に向かい合わせになるよう抱き寄せた。
運転席に座る智也を気にして、必死に俺の膝から降りようとする香織の顎を捉えてこちらに向け、何があったのかを聞き出す。
「香織。聞きたい事が2つある。まず、教室で何があった」
『知らない女の子が話しかけてきたんです。彼女は自分の彼氏さんと私が付き合っているって誤解をしていて、別れて下さいとお願いをされたんです。
すると彼女の彼氏さんが現れて、二人はちょっとした口論になったんです。その時、彼女がよろけて机にぶつかって、それが側にいた私に当たってしまって、それでちょっと転んでしまったんです。
そうしたら、彼氏さんがびっくりしたみたいで、慌てて私を助け起こそうとしてくれたんですけど……、その…急に大柄な男の人に腕を掴まれて気分が悪くなってしまって、少しパニックになってしまったんです』