貴方の愛に捕らわれて
 

深々と頭を下げる龍二と俺を、困惑の表情を浮かべて交互に見る香織。



『処分って、どうして…』



「言いつけを守らなかったんだから当然だろう」



香織の表情が曇る。



『でも私はどこも怪我なんてしていないです』



「そういう問題じゃない。あいつ等は龍二からお前の護衛をいいつかりいいつかり、それが守れなかった。


今回は偶々お前に怪我はなかったが、だからと言って言いつけを守れなかった事には変わりない」



俺を見つめる瞳には困惑がくっきりと浮かぶ。



一般人の香織には、俺達の世界の掟なんて分かりようもないのだから、当然の事かもしれない。



俺達には俺達の掟(ルール)がある。



今まで真っ当な道を歩んできた香織に、その掟は受け入れられるのだろうか?



もし受け入れられないのであれば、俺と共に生きる事は適わない。



 
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