貴方の愛に捕らわれて
あまりにも突然な香織の行動に、暫し言葉を失う。
『正直言って怖いです。猛さんがいなくなるなんて……堪えられない。
友達なんて要らないっ、他の誰が犠牲になったってかまわない!
ごめんなさい…私、何にも知らなくて、迷惑ばかりかけて……
お願いですから捨てないで』
嗚咽を堪え、絞り出すように言葉を紡ぎながら、震える身体が必死にしがみついてくる。
「まだそんな事を言いやがって。何があっても、絶対に離してなどやらん!
だから香織、覚悟を決めろ」
『はい。何があっても離れません。一生側に置いて下さい』
涙に濡れた頬を上向け、震える唇を貪るように塞いだ所で、車はマンションの地下駐車場に滑り込んだ。